水琴窟のある珈琲店
ちょっと前まで暑くて汗をかいていたのに、最近極端に寒くなってしまい
秋らしくなって来たでしょうか。
ご飯が美味しく感じる食欲の秋。芸術の秋?という事で、
両方を楽しめる民家の様な建物で、八王子市の片倉城跡公園近くにある
「月待チ珈琲店」に行ってきました。
この建物、実は私の父親が設計した建物で、数寄屋造りになっています。
設計依頼時は、施主の方が1日数名限定でお蕎麦を出したいという依頼で
設計しました。
2年前程から喫茶店に変わっていました。
門をくぐり玄関を入るとアンティークなベルが置いてあり、鳴らすと
お店の方が出て来られて、靴を脱いで入っていきます。
入ると4畳半の茶室があります。
床の間には、花が飾られていました。ローテーブルタイプと、窓側にあるテーブ
ル席とそれぞれの席に違う花が飾られていました。
お店の方がインテリアの勉強をしていた事もあったそうで、要所要所に置かれて
いるインテリアも素敵でした。
にじり口もあります(茶室へお客様が入る入り口の事)
天井は、化粧丸太や簾を使い高低差を付け、竹の縁竿は、とこ挿し
にならないように施工しています(床の間に直行しないようにする事)
畳も炉が置けように茶室の敷き方になっていますが、半時計回り
の敷き方をすると昔の人が切腹をする部屋の敷き方になるそうです。
私も昔、畳の敷き目地を間違った図面の書き方をしたら、父親に凄
く怒られた事がありました。
畳の角を十字に合うように敷くのは、縁起が悪い時に用いられる敷
き方だそうです(ただ、お寺や大広間などは、この敷き方が用いら
れているそうですが)
他にも昔から伝えられている建築のしきたりは色々ありますが、現在
の住宅は、忌み嫌う事を気にする人も少なくなってきているので、しき
たりを気にしない造りになっています。
お店のメニューは色々ありましたが、私は、コーヒーにはせず抹茶と、
その日のケーキの中から、ババナケーキにしました。
そしてこの茶室の横に「水琴窟」があります。玉石の下に鉢があり、
水を落として鉢の中で反響する音を聞くものです。
音を聞くと癒されます。
この水琴窟は、日野市の高幡不動尊にある水琴窟を設置した、同じ
職人さんにお願いしまいた。
抹茶を飲みながら水琴窟の音を聞いていると時間が止まったように
穏やかに過ごせ、浄化された感じです。
お茶を準備する水屋もあります。
外構にある植栽の土留めブロックに変わる物として瓦を使っています。
別場所では、地面に瓦を埋め込んだりして、庭も面白くしています。
お店に来られるお客様から、どこで建てられたんですかと、聞かれる事
があるそうです。設計した建物をこんな風に言ってもらえる事は、凄く
嬉しい事ですよね。
心穏やかにしたい時に、また行ってみたいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
加藤