PLAYER’S VOICE 004

ワイヤークラフトに出会えた「らしい」暮らし。すべてはこの家からはじまった。

玄関ドアを開けると、ワイヤーでできた大きなゾウがお出迎え。今回おじゃましたのは、ご夫婦と2人の娘さんで暮らすO様ご家族です。

奥さまは、現在ワイヤークラフト作家として主にInstagramを通じて活動中。キリン、シカ、ウサギ……多種多様な動物を模した立体的な作品が、リビングや階段の壁に飾られています。ご主人の転勤によって全国各地を転々としてきたO様一家が、このマイホームで思い思いに過ごす日常。その様子をちょっぴりのぞかせていただきました。

想うままに手を動かし、自分スタイルを貫く

お家の中のどこを見渡しても、ワイヤー作品がズラリ。その中でも特に、動物をかたちづくることが多いといいます。

「小学生向けの図鑑をお手本につくっています。図鑑に載っていない身体の一部や細かいディテールは、完全に妄想で。全く下描きはせずいきなり取りかかるので、そのときの気分次第で組み方も表情も全く変わってきますね。だから『またこれと同じように』ができないんですよ(笑)」

それぞれのモチーフに関する参考資料を見ることはあっても、ワイヤークラフト自体の技術を学ぶための教本や動画は、一切見たことがないそう。

「いろいろと情報を入れると、やり方が変わってきちゃうじゃないですか。ただの真似になるのがイヤなので、わざと見ないようにしています」

誰にも教えを請うことなく試行錯誤を重ね、独自の方法を構築してきた奥さま。最近では「ウチの猫をモデルに作品をつくってほしい」といったオーダーメイドの注文もあるのだとか。

「自分の中で納得できない、これはお渡しできないクオリティだ、と思ったらやり直し。飼い主さんに20パターンほど写真を送ってもらって、『もはや自分が飼い主なんじゃないか……』と勘違いするくらいいっぱい見つめるんです。顔の部分ができあがったときが、一番テンション上がりますね」

なんとなくはじめたら、まわりの人が育ててくれた

今ではギャラリーから出展依頼が来るほどの活躍ぶり。そんな奥さまがワイヤークラフトをやりはじめたのは、たった1年ほど前だとか。

「1年半前に、この家を建てたタイミングで前の仕事を辞めました。子どもたちが帰ってきたときに『おかえり』が言いたいという想いがあって家にいるようになって……趣味でも見つけようかなとなんとなく近所のホームセンターに行ってみたら、たまたまワイヤークラフトのワークショップ開催情報を見かけたんです」

もともと、刺繍などの手先で扱う作業が好きだったという奥さまは、そのワークショップを受けることなく……

「なんとなく『これだったら自分だけでできるんじゃない?』と思って、その場でペンチと針金を買いました。それで試しにお花をつくってみたら、近所の友人が『これ趣味でやってるだけじゃもったいないよ!』と言ってくれて」

グラフィックデザイナーであるその友人がショップカードをつくってくれたり、他の近所の方々が「これ、つくれる?」とお願いをしてくれるようになったり……あれよあれよという間に作品が増え、ワイヤークラフト作家として活動が広がっていきました。

植物もレコードも……「好き」に囲まれて

なんとなくはじめた趣味に、どんどんとのめり込んでいった奥さま。こうした暮らし方になったのは、家を建ててからだそう。

「以前住んでいたのは社宅。転勤が多いのでまたすぐ引っ越すだろうと、家具もその場しのぎのものだけで生活していました。これからも主人が転勤する可能性はあるけど、家を建てたことで、やっと好きな家具や食器、植物を揃えるようになったんです。前は『お花を育てる』なんて頭の片隅にもなかったのに……好きなものに囲まれる喜びを知って、今まで諦めていたものを一気にやってる感じ(笑)」

実は、のびのびと自分らしい趣味に没頭し、好きなものに囲まれる生活を楽しむようになったのは、奥さまだけではありません。

「リビングのレコードは、主人の趣味。もともと興味はあったみたいなんですけど、今までは設置できる環境ではなかったので……今はすごく楽しんでいるみたいです。休みには、お酒やコーヒーを飲みながら、会話が聞こえないレベルの音量で聴いてますね(笑)」

家族みんなが、思い思いに「らしく」過ごす

昔から憧れていたマイホームが完成したことで、これまでの社宅生活のフラストレーションが一気に解き放たれたようです。

「本当に、生活が180°変わった感覚があります。なんせ気持ちのゆとりが生まれて、夫婦仲がすごく良くなりました。話が弾むようになった、とかではないんですけど……(笑)。なんとなくみんなでいっしょにいたくなるようになったんです。子どもたちも自然とリビングに集まって、自由気ままにお絵かきやねんど遊びをしています」

「窮屈で居場所もない」と休みのたび外へ出かけていた家族が、自然とリビングに集まり、それぞれが思い思いの時間を過ごす。その家族だけの時間と空間が、「自分たちらしく楽しく暮らす」という日常をつくっているようです。

▲木が好きなご主人のために、薪ストーブを設置。薪割りは、ご主人の良いストレス発散になっているとか。
▲奥さまの様子を見て「やりたい」と長女がつくったワイヤーのお花。お子さんも、こうした作品づくりが好きなよう。

お施主様名O様
お住まい埼玉県飯能市
家族構成夫婦+子ども2人
居住歴1年7ヶ月

Another Voice
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    薪集めと家庭菜園に大忙し。山好きが家好きになるまで。

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