薪集めと家庭菜園に大忙し。山好きが家好きになるまで。
夏になるとBBQや水遊びを楽しむ人でにぎわう飯能河原。川のせせらぎを聞きながら河原沿いの道を歩くと、まるで壁のようにびっしり積まれた大量の薪が。薪棚のある庭を奥へ進んだ先で、黒の煙突と外壁がシックな印象の平屋が、私たちを出迎えてくれました。
こちらに住むのは、「山が好きで、まるで森の中のようなところで暮らしたかった」と話すI様。自然を眺めながらどのように暮らしを楽しんでいるのかを聞いてみました。
アウトドアフリークによる、薪ストーブ中心の家づくり
「もともと山登りやスキーをするのが好きで、毎週のように長野へと遊びに行ってたんです。でも当時住んでいたアパートが千葉にあったので、かなり移動が大変で。いっそのこと埼玉方面に引っ越そうと思い立ち、この場所に家を建てることにしました」
移動時間や手間を省くことで、休日の楽しみをもっと手軽に、もっと全力で楽しみたい……そんな思いがI様の家づくりの出発点でした。
I様は山へ遊びに行きたくて住み替えを決意するほどのアウトドアフリーク。山小屋に憧れがあったこともあり、当初は数軒のログハウスを見学していたとのこと。そこで目にした薪ストーブに魅了されたのだとか。
「圧倒的な暖かさと、あの炎の揺らめきに惹かれて……その時点で、絶対自分の家にも設置しようって決めたんです」
薪ストーブに魅了されたI様の家には、薪ストーブをそのまま床に置ける土間リビング、暖気が家全体に行き渡るような設計……随所に薪ストーブを中心とした工夫がうかがえます。
「その中でもこだわってお願いしたのは、薪ストーブの後ろの窓ガラス。ふつう、後ろの壁はレンガにする場合が多いんですが、ガラスにすることで薪ストーブ越しに外の様子を見られるようにしました」
薪ストーブと、庭の雑木が織りなす景色。家にいながら大好きな山の雰囲気が味わえる、ぜいたくな空間が完成しました。
山で遊んでいた時間が、薪とともに暮らす時間に
家に薪ストーブを設置したことで、休みの日の過ごし方にも変化が出てきたといいます。
「土日は、薪集めや薪割りでもう忙しくなっちゃって(笑)。薪は、近くの山の持ち主に連絡して薪をくれないかお願いして集めています。あと、チェーンソーの音が聞こえると、『どこだ?どこだ?』って散歩がてら探しに行って、全然知らない人に『いただけますか』ってお願いすることもありますよ。自然豊かな場所なので、枯れたり倒れたりした木がたくさんあるんです。要らない人は処分に困るただのゴミかもしれませんが、私からすればもう宝の山!」
薪集めに忙しくなるのは、枝を切る時期に合わせた11月以降。時間もかかる上にかなり負荷のかかる運動になるので、以前ほど長野には行かなくなったそう。
「スキーに行くのに時間がかかるからってこの場所に家を建てたのに、結局あんまりスキーには行ってない……って矛盾してますよね(笑)」
「もっと気軽に山に遊びに行きたい」という家づくりの出発点からすこしちぐはぐになっている現状を、楽しそうに語るI様。むしろ、この“予想外の矛盾”を全力で面白がっているようでした。
家庭菜園もコーヒータイムも、もっと思いっきり
家を建ててからはじめたのは、薪のことだけではないようで……
「ヒロ建工さんのモデルハウスを見に行ったとき、営業の方がその一画でのらぼう菜を育てていて、その場で摘んで持ち帰らせてくれたんです。家に帰って教えていただいた通りに湯がいていただいたらそれがとっても美味しくて。もともと私もプランターでシソや小ネギをこじんまり育てていたので、本格的に家庭菜園に挑戦してみようと思いました」
ウッドデッキ前の畑には、ゴーヤとナスが。これまでに、トマト、オクラ、リーフレタス……と、色とりどりの野菜をつくってきた、と振り返ります。
「いっぱい採れると楽しい!でもやっぱり、食べるのが一番の楽しみですかね(笑)。ゴーヤはぬか漬けやチャンプルーにして食べていますよ」
今後は庭での栽培だけでなく、ヒロ建工が主催する農園スペースを借りて、より多くの野菜づくりに挑戦していく予定だとか。
家庭菜園に薪割り……と、庭で過ごすことが増えただけでなく、家の中でのコーヒータイムや棚に並べるアイテムにも変化があったようです。
「もともとコーヒー好きだったんですが、前の家はどうしてもものを置くスペースがなかったので、あまりアイテムは購入せず……今持っているミルやネルフィルターのほとんどは、この家に住むようになってから買い揃えました。旅行先や陶器市で手に入れたマグカップで、毎日のコーヒータイムを楽しんでいます。キッチンの棚に“見せる収納”をつくったので、以前は考えもしなかった『家に合うようなマグカップがほしい』という感情が芽生えてきましたね」とI様。
丁寧に秤で豆を量り、タイマーで時間を管理しながら、丹念に淹れたコーヒー。お気に入りのアイテムといっしょに香りを楽しむ、ゆったりとした時間が流れます。
家が面白くなると、家が遊びのベースになる
住む場所や趣味だけでなく、時間の流れ方自体が変化していったI様の暮らし。この家に住むことで、暮らし自体の“時間と心に余白が生まれた”と言えるのかもしれません。
「今の家に住むまでは、こんなに家で過ごすことに興味が湧かなかったというか、余裕がなかったですね。とにかく休日のたびに外へ出かけていたのは、家がつまらなくて興味の対象が外にばかり向いていたからなのかも。今はウッドデッキでBBQもできますし、この家が遊びの拠点になっています」
「ワクワクする!」の対象が、外から内へ。常に心惹かれるものへアクティブに動きつづける、等身大の暮らしを見ることができました。
お施主様名 | I様 |
お住まい | 飯能市 |
家族構成 | 家族2人 |
居住歴 | 3年3ヶ月 |